日本人にとって、とても親しみのある調味料のひとつ【お味噌】。
大豆と塩をベースに、それに加える麹が米麹なのか、麦麹なのか、豆麹なのかで色が変わります。
西日本は主に麦麹の麦味噌、中京地方は豆麹の豆味噌など、エリアや由来によっても基本的に好まれている味噌が違って地方色が出ます。
因みに私の実家(熊本)は米と麦の合わせ味噌でした。
発酵食品でもあり、健康に気をつける人、そうでない人でも日常的で身近な調味料です。
実はこのお味噌にご利益のある神社【味噌天神】が熊本市内にあるんですよ。
今回はあまりメジャーではない、でも実はとても永い歴史のあるこの味噌天神をご紹介します。
由来もちょっと面白いのですよ?
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熊本の味噌天神とは?
伝承によれば和銅6年(713年)、肥後の初代国司・道君首名(みちのきみのおびとな)のとき悪疫が流行して多くの死者が続出しました。
そこで国司が疫病平癒祈願のために現在の熊本市中央区大江本町に神薬の神として【御祖天神(みそてんじん)】を祭祀したところ、まもなく疫病が治まったそうです。
あれ?最初はお味噌の神様ではなかったのですね。
それが何故にお味噌の神様になったのでしょう?
ただ「みそ」という音読が一緒だからという訳ではないですよね??
味噌天神の由来
実はそもそも神薬の神【御祖天神(みそてんじん)】を祀ったのがはじまりと言われるこの天神さま、どういった経緯でお味噌の神様になったのでしょう?
味噌の神様になった経緯
その後月日が流れて741年(天平13年)、聖武天皇の勅令により諸国に国分寺が置かれるようになりました。
肥後(熊本)でも国分寺を現在の熊本市中央区出水に建て、寺の僧侶や信徒は朝夕の食事によく味噌を用いたそうです。
ところがある年、たくさんの味噌が腐り始めました。
困った僧侶たちが近くにあった【御祖天神】に祈願したところ、「境内にある小笹を取り味噌桶の中に立てよ」と神のお告げがありました。
その通りにしてみると不思議なことにとても美味しい味噌に変わったのです。
依頼人々は益々信仰して、その後日本国中唯一の味噌の神として【味噌天神】の愛称で広く全国に伝えられました、とさ。
ああ良かった、ちゃんとお味噌に由来する言い伝えがありましたね。
学説ではまた別の説もある
ところが実はまた違った名前の由来があるのです。
【天神】とは元々日本における雷の神様のことでしたが、学問の神様として名高い菅原道真公の没後、菅原公のことを指すようになりました。
そこで学説としては天神の御衣(みそ)を納めた【御衣天神】であろうともされています。
同地でも平安時代になってから菅原公を祭神として合祀されました。
そういうことで合格祈願での参詣も多いようですね。
それから別名に【本村神社】という名もあります。
こちらの由来は今のところわかりません。
味噌天神の楽しみ方あれこれ
ほんの小さな神社ではありますが、綺麗に手入れされて地元の方に愛されているこの神社。
楽しみ方も色々ありますよ。
熊本の隠れた観光スポットとして
この味噌天神、場所がとっても便利なところにあるのです。
熊本市内はあまり交通の便が良いとは言えないのですが、こちらは熊本駅からJRでも、市電でも、バスでも近くまで行けます。
具体的には
1,JR利用の場合、熊本駅から豊肥本線で大津行き各駅停車に乗車して3つめの【新水前寺駅】で下車して400メートル(徒歩6分)
2,市電利用の場合、熊本駅前電停から健軍町行に乗車して13電停めの【味噌天神前】で下車してすぐ目の前
3,バス利用の場合、熊本駅前バス停から都市バス中央環状線に乗って14停留所めの【味噌天神前】で降りてすぐ目の前
いずれを利用しても、時間にして15〜30分弱程度です。
JRだとちょっと歩くことにはなりますが、気候のいい時期なら全然問題ない距離です。
市電だと熊本城を観た後でこちらに寄って、水前寺公園に行くといった観光地巡りが気軽にできますね。
チンチン電車とも言われる市電はスピードもゆっくりなので、町並みの風景も楽しみながら熊本の空気を感じてもらえます。
住所:熊本県熊本市中央区大江本町7−1
駐車場:なし
御朱印集めも出来ます!
こちらの神社は通常どなたも常駐していませんが、道を挟んだすぐお隣の「喫茶店モナミ(田代さん宅)」が総代で、そちらで御朱印(初穂料300円など)や御札がいただけます。
現在は喫茶店の営業はしていないようですが、建物の2階に住んでおられるようでぐるりと回ると玄関があり、そちらからお声がけすれば良いようです。
お好きな方は是非どうぞ!
私が散策したときも、丁度目の前でお一人の観光客らしき方が玄関から出てこられていましたよ。
毎年10月25日は例祭日
神社では、毎年10月25日に『味噌天神秋季例大祭』が開催されます。
この日は参拝に訪れた人々に味噌汁や甘酒が振る舞われ、また熊本特産の麦味噌(計350キロなど)が無料で配布され、毎年大変な賑わいになります。
ここ数年は社会情勢のため中止でしたが、2023年は再開されました!
これは地元の熊本県みそ工業協同組合さんが手弁当でやっているイベントのようです。
なんだか素朴で嬉しいですね。
因みに同協同組合さんでは、個食タイプのフリーズドライみそ汁「味噌の天神さま」を発売されています。
県産の合わせみそ、南関あげ、国産あおさを原料に使用して作られています。
同協同組合員各店で扱っているそうですので、興味のある方は探してみては如何でしょう?
●熊本県みそ工業協同組合:電話096-356-8200
熊本の味噌を使った「みそまんじゅう」もオススメ
熊本には地元の味噌を使った味噌まんじゅうがあります。
その中でもオススメの一品をご紹介します。
熊本の北部、山鹿で4代にわたって味噌作りに励んでいる製造元から九州産の原料を使った麦みそを仕入れ、おまんじゅうの皮にふんだんに練りこんだ商品です。
「匂いまでおいしい」おまんじゅうです。
中身は白あんで、皮に含まれるみそによるほのかな塩味がなんとも良いのです。
くどくなくてこれなら「甘いものはあまり…」という人も食べられるのではないでしょうか?
何と言っても味噌という馴染み深い味が食欲を促進してくれます。
私は手に入れたら個包装をジッパーバッグに幾つか入れ、冷凍庫に保存しておいて食べたい時にレンジで解凍するようにしています。
疲れた時など、ちょっと飲み物と一緒に一息入れる時など、重宝しますよ。
●販売元:荒木食品
電話番号:0968-36-2077
価格:味噌まんじゅう4個入 330円(税込)
販売箇所:JAかもと ファーマーズマーケット 夢大地館・水辺プラザかもと・道の駅 すいかの里植木・ダイキ(東町店、本山店)など
天神もなかという知る人ぞ知る和菓子も
【味噌天神】のすぐお隣に派出所があるのですが、そのまた道を挟んでお隣に和菓子屋さん【福栄堂】があります。
実は老舗の和菓子屋さんだったのですが、一旦お店を閉じられて住宅として建て替えられました。
しかし近隣の方からの「またあの味を食べたい」というリクエストに応えて4代目になる方が週に1日火曜のみ、一日100個限定販売するようになったそうです。
それが天神様の飛梅に由来する【天神もなか】です。
餡は北海道産小豆、皮は菊池産糯米を用いたものを使用し、伝統の製法で三日かけて一つひとつ丁寧に作っているそうです。
20個以上ご注文の場合は、10日前までの申込で、少数の予約は、営業日前日までの連絡で可能です。
※直近の情報では、店頭での販売をしばらくお休みされているそうです。
但し熊本市内の繁華街、上通り長崎書店2階の【Cafe&Bar 八】で天神もなかの提供をしているそうです。
●福栄堂:住所 熊本県熊本市中央区大江本町6−10
電話:096-240-2103
●Cafe&Bar 八:住所 熊本県熊本市中央区上通町6−23 長崎書店ビル 2F
電話:096-353-6767
熊本の味噌天神とは?由来や楽しみ方を紹介まとめ
如何でした?
とても身近なお味噌の神様・味噌天神に、色んな由来があったのですね。
実はバス停や市電の電停としての【味噌天神】という名称しか認識していなかったのですが、ぼーっと市電に乗っていて神社があることに気が付きました。
そして今回、実は熊本のみならず全国の味噌に関わる人を中心に認知されている事を知ったのです。
灯台下暗しとはよく言ったもので、とても身近にこんなところもあるのかと思った次第です。
皆さんも、地元を散策されてみると意外な良い場所や面白い由来のあるものが見つかるかもしれませんよ。
私も、もっと熊本の知らなかったお宝を探してみたいと思います。
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